元利均等と元金均等の違いと選び方 — 総返済額でどれだけ差が出るか
住宅ローンを組むとき、最初に決めることの1つが返済方式です。「元利均等返済」と「元金均等返済」は名前が1文字しか違いませんが、毎月の負担の形も、最終的に払う利息の総額も変わります。この記事では、両者の仕組みを整理したうえで、3,000万円・35年ローンの具体的な数値で差額を確認します。
2つの返済方式の仕組み
元利均等返済 — 毎月の支払額がずっと一定
元利均等返済は、「元金+利息」の合計額が完済まで毎月同じになるように設計された方式です。返済初期はローン残高が大きいため支払いの中身は利息が多く、返済が進むにつれて元金の割合が増えていきます。毎月の支出が固定されるので家計の見通しが立てやすく、日本の住宅ローンで最も広く使われています。
元金均等返済 — 元金を毎月同じ額ずつ返す
元金均等返済は、元金を返済回数で均等に割り、そこにその月時点の残高に対する利息を上乗せして支払う方式です。残高は毎月確実に同じペースで減り、それに伴って利息も減るため、毎月の支払額は初回が最も多く、返済が進むほど少なくなっていきます。元金の減りが元利均等より速い分、利息の総額は少なくなります。
数値例で比較 — 3,000万円・年利1.5%・35年の場合
借入額3,000万円、年利1.5%(全期間固定と仮定)、返済期間35年(420回払い)で両方式を計算すると、次のようになります。
| 項目 | 元利均等 | 元金均等 |
|---|---|---|
| 初回の返済額 | 91,855円 | 108,929円 |
| 最終回の返済額 | 91,855円 | 71,518円 |
| 総返済額 | 約3,858万円 | 約3,789万円 |
| 利息総額 | 約858万円 | 約789万円 |
利息総額の差は約68.5万円。同じ金額を同じ金利で同じ期間借りても、返済方式の違いだけでこれだけの差が生まれます。一方で、元金均等の初回返済額は元利均等より月あたり約17,000円多い点に注意が必要です。元金均等の支払額が元利均等の毎月91,855円を下回るのは返済の後半に入ってからで、それまでは毎月の負担が重い状態が続きます。
※ 元利均等は「借入額 × 月利 × (1+月利)ⁿ ÷ {(1+月利)ⁿ − 1}」で毎月返済額を求め、1円単位に四捨五入して回数分を掛けた概算です(当サイトのローン計算ツールと同じ方式)。元金均等は各回の利息を合計した概算です。実際の返済予定表とは金融機関の端数処理により数円〜数百円の差が出ることがあります。
金利が変わると差はどれだけ広がるか
2方式の利息差は、金利が高いほど・期間が長いほど大きくなります。同じ3,000万円・35年で金利だけを変えて計算すると次のとおりです。
| 年利 | 元利均等の利息 | 元金均等の利息 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 0.5% | 約271万円 | 約263万円 | 約7.7万円 |
| 1.5% | 約858万円 | 約789万円 | 約68.5万円 |
| 3.0% | 約1,849万円 | 約1,579万円 | 約270万円 |
低金利であれば方式の違いによる差は小さく、金利3%では約270万円まで広がります。「元金均等のほうが得」という一般論は正しいものの、その得の大きさは金利水準に大きく依存する、というのが実際のところです。
どちらを選ぶべきか — 3つの判断軸
1. 初期の返済負担に耐えられるか
元金均等は初回の返済額が最も重く、上の例では元利均等より月約17,000円多く払う期間が長く続きます。金融機関の審査も毎月返済額をもとに行われるため、借入可能額が元利均等より小さくなる場合があります。子育て期など支出が多い時期に返済初期が重なる家庭では、元利均等の「一定額」の安心感が勝つことが多いでしょう。
2. 利息総額をどこまで重視するか
初期負担を許容できる余裕があるなら、元金均等は確実に利息総額を減らせます。ただし、元利均等を選んでも繰り上げ返済を組み合わせれば利息は減らせるため、「元利均等+余裕がある時に繰り上げ返済」という柔軟な戦略が実質的に元金均等に近い効果を持つことも覚えておきたいところです。
3. そもそも選べるか
金融機関や商品によっては元金均等返済を取り扱っていない場合があります。候補のローン商品が両方式に対応しているかは、事前に確認しておきましょう。
いずれの場合も、まず自分の借入条件で毎月の返済額と利息総額を把握することが出発点です。当サイトのローン返済シミュレーターを使えば、借入額・年利・期間を入力するだけで元利均等方式の毎月返済額と利息総額をすぐに確認できます。金利や期間を変えて何度か試すと、自分にとっての現実的なラインが見えてきます。
よくある質問
元金均等のほうが総返済額は必ず少なくなりますか?
同じ借入額・金利・期間で比較する限り、元金均等のほうが利息総額(=総返済額)は必ず少なくなります。元金の減るペースが速く、利息の計算対象となる残高が常に小さいためです。ただし差の大きさは金利と期間次第で、低金利・短期間では差はわずかです。
元利均等で借りて繰り上げ返済すれば、元金均等と同じくらい利息を減らせますか?
減らせます。繰り上げ返済は全額が元金の返済に充てられるため、利息削減の効果は大きく、時期と金額によっては元金均等との差を上回ることもあります。「毎月の負担は一定に抑えつつ、余裕資金ができたら繰り上げる」という組み合わせは実務的によく使われる戦略です。ただし金融機関によっては繰り上げ返済に手数料がかかる場合があります。
変動金利の場合もこの比較は成り立ちますか?
「同条件なら元金均等の利息が少ない」という関係自体は変動金利でも変わりません。ただし本記事の数値例は入力した金利が全期間続く前提の試算であり、将来の金利変動は反映していません。変動金利を検討する場合は、金利が上がったケース(例えば2%や3%)でも計算して、負担の上限イメージを持っておくことをおすすめします。
毎月の返済額を手軽に試算する方法はありますか?
当サイトのローン返済シミュレーターで、借入額・年利・返済期間を入力するだけで元利均等方式の毎月返済額・総返済額・利息総額を無料で計算できます。入力データはサーバーに送信されず、ブラウザ内だけで計算されます。